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尖閣事件の「犯人」

最近 購入したまま序文しか読んでいない『黒岩の法則50』(飛鳥新社)という本があるのですが、この序文に興味深い主張がありました。尖閣事件(仕方なく土地の名前は出しますがいつも言うように日本が実効支配している地域は徹底的に放置して「当たり前の領土」という国民的空気を作る事が最適解)の日本外交におけるメッセージ力の弱さが浮き彫りになったというもので、
(1)発信力の欠如/領土侵犯船長の沖縄地検による解放という国内向けの「タテマエ」は、世界では単に国家の敗北という「結果」でしか捉えられない
(2)受信力の欠如/詳細は後述
という2点が指摘されていました。(1)はマスゴミが口を揃えて言ってるので、ここで注目したいのは(2)の方です。

以下、本書の引用。
「中国がここまで強硬姿勢に出てくることを菅政権は予測できていなかったのでしょう。外交というのは、虚々実々の駆け引きの世界です。メッセージ力の闘いとも言えるでしょう。メッセージは発することも大事ですが、的確に受け止めることも大事です。それが外交力の基本でしょう。
中国の強攻策が前面に出てくる前に、明確な言葉ではなくてもさまざまなカタチでのメッセージが発せられていたはずです。おそらく、それを日本が受け止め損ねていたに違いありません。そのうちに、相手側も引くに引けなくなってきたということではないでしょうか。温家宝首相といえども、国内の権力闘争に勝利し続けなければならないわけですから、国内向けのメッセージを意識することは当然です。」(p.14)

本書の内容はよくある売れ線の自己啓発本なので以上の序文は余談になりますが、しかし正鵠を射ています。この主張を踏まえた個人的意見を下に書きます。
首相は政府としての最終的な意志決定をしますが、判断材料となる質の高い情報をそこに集約させるのは手足となる外務官僚の役目です。という事は、中国側から送られてきた情報(シグナル→後述)を読み取れなかったか、もしくは曲解した外務省チャイナ・スクール(外務省では習得言語別に派閥が分かれて「〜スクール」と呼ばれます)には相当に重い責任があると言わざるを得ません。
有罪船長の取扱については確かに政府の判断に疑問もあったけれど、そもそも今回の不測の事態を招いたのが外務官僚(インテリジェンス能力=メッセージ力の基礎体力が著しく低下していると何年も前から指摘されている)の所為だとしたら、当該事件で菅首相をバッシングするのは間違っています(ちなみに僕は菅首相を特に支持する訳ではない)

以下は補足として外交における「シグナル」について書きます。たとえば北朝鮮は「求愛を恫喝で表現する」(『地球を斬る』p.201)のが基本スタンスです。たとえば「万が一、敵たちがついに戦争の火ぶたを切れば、侵略者たちを無慈悲に撃滅掃討し、朝鮮民族の胸にしみこんだ恨みを必ず決算するだろう」(同出典)と字面を見れば物騒な話も、要は対話に応じて欲しいだけ。
このように字面(タテマエ)と実質的内容(本音)は外交の世界で別物なので、相手の本音が見抜けなかった時はえらいことになる。

尖閣が正にこの例で、中国側の「民衆の不満を解消する必要が
あるので問題を起こした(=漁船を日本巡視船にぶつけた)が以前と同じように対応(=国外追放で手打ち)することを忘れないで欲しい。勿論、相応の見返りの要求には応じるし、逆に事を荒立てることがあった場合には責任は取ってもらう」くらいのニュアンスのシグナル(本音)が送り続けられていたのに外務官僚は理解できなかった。結果として、誰も得をしない稚拙な悪手を日本政府が取ってしまったのだと思います。
もともと高度なインテリジェンス能力さえあれば日本+1:中国+1くらいのadvは取れる案件だったに違いありません。けど外交手腕に酷い差があるせいで日本-2:中国+2くらいの収支になった。

しかし本当に恐ろしいのは、官僚とベタベタにくっついている大メディアがどこもこのような見方をしていないだろうと容易に予想されることです(T_T)

ところで本書(黒岩本)の序文を読んでピンと来る前には、僕は当事件の背景として以下の2つのシナリオを妄想していました。
(1) アメリカが糸を引いていた。日本と中国・ロシアとの緊張関係を高めて、アメリカへの依存を強めさせることが狙い。
(2) 中国の狙い通りに完璧に推移した。欧米へのレアアース輸出を絞って利益と発言力を高めたいが、いきなりそれをすると猛反発されるので、手始めに(国民世論のウケも兼ねて)日本を叩きのターゲットとした。

まず(2)については「レアアースというカードが外交上ここまで有効だと当初は中国側も知らず、日本がオロオロしているうちに調子に乗ってきた」(日経新聞?)という意見を見た。まあそうなのかも知れないっすね。
次に(1)については「アメリカにも予測し得ない事態。アジアの国家間で緊張が度を超して高まることは歓迎できない」(米紙)、「尖閣問題で最も得をしたのはアメリカだった」(『クーリエ・ジャポン12月号』pp.58-59)という2つの論調とその出典を考えれば、十分に有り得る話だとは思う。日本がアメリカに歩み寄りはじめたし、ここに引っかかるのはむしろ当然ですが。

長くなりましたがまとめると、個人的な意見としては外務官僚の「不作為による事故」という結論です。背景としてアメリカのインテリジェンス工作などピンポイントの仕掛けはあったかも知れない。そして今回もまた残された大きな問題は、国益をひどく毀損する外務官僚の不作為と、あたかも彼らを世間の目から逸らすかのように菅政権の批判ばかりを繰り返しているメディアの思考停止だと思います(馬鹿も大概にしろww ちなみに何度も言うけど俺は菅はどうでも良いので庇っているつもりは全くないw)

凡人の意見ですが結構に説得力あるんじゃないかな??間違いとかあったらご指摘下さい。いつでも謙虚に修正します!!

- - - - -
追記:出典『クーリエ・ジャポン12月号』pp.58-59 の記事のことも書いておきます。ここで触れられていることには、
・中国の対日戦略の見通しの甘さ(つまり日本が中国の予想以上に鈍感だったww)
・中国が米国に介入を求めた。米国は利害が一致するので介入した。中国、日本双方との関係で得をした。

米国が尖閣の裏で日本と中国に対して色々働いていたというのは、あくまで僕の妄想に過ぎなかった訳だけど、少なくとも介入の段階において虎視眈々と自国の利益極大化を図っていたのは信頼のできる話みたいね。
しかしむしろ面白いのは、この事件は中国のインテリジェンスにおける失敗でもあると暗に指摘している点ですね。そういう見方も出来なくはないのか。

PS 中国が日本にシグナルを送っていたというくだり(オレンジ色のフォント)についての記述ですが「漁船を日本巡視船にぶつける」(未来形)→「日本巡視船にぶつけた」(過去形)に修正しました。即日修正するくらいならもっと考えまとめないと駄目だなw こういう外交カードは事前に出したら効果がないので予告する可能性は低い(0とも言い切れませんが)と思い直しました。
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